網戸の左側の隙間に悩んでいる時、私たちの意識はどうしても、床に近い下側の隙間や、それを調整するための戸車に向かいがちです。しかし、実はその隙間の根本的な原因が、全く逆の「網戸の上部」に隠されているケースが少なくありません。その鍵を握る最重要部品、それが「外れ止め(はずれどめ)」、または「振れ止め(ふれどめ)」と呼ばれる小さなパーツです。この外れ止めの役割は、その名の通り、強風などで網戸がレールから「外れて」落下するのを「止める」ための安全装置です。通常、網戸の上部左右どちらかの側面についており、この部品が上側のレールに程よく引っかかることで、網戸がガタついたり、簡単に持ち上がってしまったりするのを防いでいます。しかし、この外れ止めの設定が不適切だと、様々な問題を引き起こします。例えば、外れ止めが緩みすぎて、レールとの間に大きな隙間ができてしまっている場合。これでは、網戸全体が左右にガタガタと揺れやすくなり、閉めた時にきれいに収まらず、結果として左側に隙間ができてしまう原因になります。また、逆に、外れ止めを締めすぎて、常に上レールに強く接触している状態も問題です。これでは、網戸のスムーズな開閉が妨げられるだけでなく、網戸全体が下に押し付けられるような形になり、戸車の正常な動きを阻害してしまいます。網戸の左側の隙間を調整する際には、まず戸車の高さ調整を行うのが基本ですが、それでも直らない場合や、そもそも網戸に大きなガタつきがある場合は、この「外れ止め」を疑ってみてください。調整は非常に簡単です。ドライバー一本で、外れ止めを固定しているネジを少し緩めます。そして、外れ止めと上レールの間に、ハガキ一枚が入るか入らないか、くらいのわずかな隙間ができる位置に調整し、再びネジを締めて固定します。たったこれだけの作業で、網戸のガタつきが収まり、それに伴って左側の隙間も解消されることがあります。戸車だけでなく、外れ止めもチェックする。それが、完璧な隙間対策への近道です。