リフォームを計画する際、予算の都合や、特に気になる箇所だけを改善したいという思いから、「部分的なリフォーム」を選ぶ方は多いでしょう。例えば、「キッチンだけを最新のものに交換する」「リビングの床だけを新しく張り替える」といったケースです。しかし、この部分的なリフォームには、思わぬ落とし穴が潜んでいます。それは、新しくなった部分と、手をつけていない古い部分との間に「ちぐはぐ感」が生まれてしまい、かえって家全体の古さが際立ってしまうという現象です。この「ちぐはぐ感」による後悔を招くくらいなら、中途半端なリフォームはしないほうがいい、とさえ言えます。想像してみてください。最新のデザインでピカピカのシステムキッチンが設置されたのに、その隣の壁紙は黄ばんでいて、床には傷が目立つ。そんな空間は、どう見えるでしょうか。キッチンの新しさが浮き彫りになる一方で、リビング全体の古さがより一層強調され、落ち着かない、バランスの悪い空間になってしまいます。結局、そのちぐはぐ感に耐えきれず、「やっぱり壁と床もリフォームしよう」と追加工事を依頼することになり、最初からまとめて行うよりも、かえって割高な費用がかかってしまった、というのもよくある話です。また、機能面でのちぐはぐも問題になります。例えば、リビングの床だけをバリアフリーにしたとしても、隣接する廊下や部屋との間に段差が残っていては、本当の意味でのバリアフリーは実現できません。部分的なリフォームを成功させるためには、家全体を見渡す広い視野が必要です。新しくする部分と、残す部分との「調和」を、事前に徹底的にシミュレーションしなければなりません。色合い、素材感、デザインのテイスト。これらがうまく馴染むという確信が持てない限り、安易に一部分だけを新しくするのは危険です。予算が貯まるまで待って、リビングダイニング全体、あるいは水回り全体といった、ある程度まとまった空間単位でリフォームを計画する。それが、後悔しないための賢明な判断です。
一部だけのリフォームが招く「ちぐはぐ」感という後悔