築二十五年のマンションを購入し、自分たちの好みに合わせてリフォームしようと決めたあの日から、私たちの予算との長い戦いが始まりました。当初、私たちは漠然と「五百万円もあれば十分だろう」と考えていましたが、いざリフォーム会社に希望を伝えて出てきた最初の見積額は、なんと八百万円を超えていました。目の前が暗くなるような思いでしたが、そこからが本当の意味での家づくりの始まりでした。私たちは毎日、リビングのテーブルに図面と見積書を広げ、どこを削り、どこに残すかの議論を重ねました。一番のこだわりだったオープンキッチンは譲れませんでしたが、その代わりに各部屋の収納の扉を廃止してロールスクリーンに変更したり、廊下の照明を標準的な製品に落としたりすることで、少しずつ金額を削っていきました。作業を進める中で気づいたのは、予算管理とは単に安いものを選ぶことではなく、自分たちにとって何が本当に大切かを見極めるプロセスだということです。例えば、壁紙は安価な量産品を選びましたが、リビングの一面だけには少し高価なアクセントクロスを採用しました。これだけで、全体のコストを抑えつつも部屋の雰囲気は劇的に良くなりました。しかし、順調に見えた計画にも予期せぬトラブルが発生しました。床を剥がしてみると、想定よりも下地の劣化が進んでおり、補修のために追加で三十万円の費用が必要になったのです。もし予備費を確保していなかったら、どこか別の重要な設備を諦めなければならないところでした。これからリフォームをする方に伝えたいのは、予算には必ず「逃げ道」を作っておくべきだということです。私たちは最終的に、当初の希望よりも少し予算をオーバーしましたが、自分たちで納得して選んだ素材や設備に囲まれた暮らしは、その金額以上の価値があると感じています。リフォームの打ち合わせ期間中は、お金のことで夫婦喧嘩をすることもありましたが、一つひとつの項目を精査し、共通のゴールに向かって判断を下した経験は、家族の絆を深める機会にもなりました。予算という壁にぶつかるたびに、私たちは「どんな暮らしがしたいのか」という原点に立ち返ることができました。完成した住まいに足を踏み入れた瞬間の喜びは、あの苦労があったからこそ格別なものになったのだと確信しています。
我が家のリフォーム予算と格闘した百日間の記録